コンクリートの床に、バラが根をおろす。

ビルの屋上に生えたバラ。屋上には土はなかった。コンクリートの床があるだけ。風に舞い上げられたちりが、何年もかけて建物の隅に蓄積し、土のようなものになる。そこにばらの種が飛んできて、芽を出し、根を張り、成長する。防水という仕事をしていて、雨漏りがするというので、屋上に上がって見ると、木が生えているという光景を何回もみた。植物の根は、酸を出してコンクリートの床を腐食していく。根の開けた微かな隙間から水がコンクリートの床にはいりこむ。その水が冬になると凍り、床のひびを大きくするのだ。雨漏りの原因になる。いつ見てもよく生えたな、思いながら無慈悲にも引っこ抜くのである。自分も、自然にひっこぬかれるんだろうな。そのうち。

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