父と母
20歳を過ぎるまでカメさんはお父さんのことを、なんて酔っ払いだと思っていました。そんなお父さんを分かるようになったのは、ナオちゃんと結婚してからでした。父は、まだ小学生だったカメさんを台所のテーブルの前に座らせて、日本酒を飲みながら、自分がシベリア抑留されていた時の話を聞かせるのです。それはそれは何回も何回も聞いたはなしです。そう、父は第2次世界大戦のとき、満洲で兵隊でした。そして捕虜になり、シベリアに連れて行かれ、過酷な労働をさせられました。よく、若者を鍛えるには、軍隊がいい。と言う人がいますが、父から聞いた軍隊は、人間を人間でなくすところでした。どんな国の兵隊も、国のため、へいわと正義のために、大きな人類の理想のために戦うと、教えられます。戦うには、当然のことですが、相手がいます。相手は当然のことですが、殺されなければならない鬼畜。でも、よく考えると、相手も、自分たちのことを、そうおしえこまれてきています。どんな国でも、いい奴がいて、悪い奴がいます。戦争は、それを無視して、相手の国はみんな悪い奴と決めつける。軍隊は、かんがえることをさせない。命令に従う人殺しをつくるところ。一番、おかしいのは、戦争を始める人間たちが、戦争を必要だというん人間たちが、前線ではなく、一番うしろでうまいものを食いながら見物していることです。父は、戦争の残酷なところは話しませんでしたが、バカ臭さはいろいろおしえてくれました。
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